韓国お寺巡り研究会



石窟庵(ソックラム)
電話 054-746-9933
 
交通 仏国寺から石窟庵観光専用バス
特徴・見所

 石を組み合わせた人口のドームに土をかぶせた石窟寺院で、仏国寺とともに金大城(キムデソン)によって創建された統一新羅の科学と文化の結晶体と言われる遺跡です。
ほーりー記

石窟庵の門石窟庵外観
 仏国寺から車で山を登ったところにある石窟庵は、こちらも世界遺産に登録されており、韓国の国宝の中でも最高と称されている文化財です。駐車場で車を降りて門をくぐり、5分ほど歩くとその至宝にたどり着きます。

 写真の右は石窟庵の外観です。もともとは人工洞窟で建物は後付けですが、後ろにこんもりと盛り上がった姿が確認できます。

石窟庵入り口石窟庵内部構造
 残念ながら内部は写真撮影禁止なので、建物の入り口と形状を説明した看板です。中は四角い前室と円形の主室に分かれています。

 まず真正面に見えるのが釈迦如来坐像です。石造ですが身体のラインが丸みを帯びてとても柔らかく、静かに目をつぶった表情からは統一新羅の繁栄からその後の石窟庵の荒廃、そして発見されて現在に至るまで、歴史の移ろいを全て超越しているかのような時間の深みを胸に染み出させてくれました。指を地面に触れさせ、釈迦が悪魔の誘惑を退けた時に用いた触地降魔印も、時を越える静かな決意を表しているようです。高さは3.48メートルとずっしりとした重量感も伝わってきます。

 そして周りには壁に彫られた十大弟子や四天王、金剛力士や八部神将などが居並び、お釈迦様の神々しさをより引き立てています。普段はガラス越しにしか見ることができませんが、毎年お釈迦様の誕生日(日本だと4月8日の花祭りですが、韓国では旧暦で行われていると思います。確か、祝日です)には中に入ることができるとのことです。

甘露水石窟庵の岩
 ちなみに石窟庵の前には、飲むと寿命が延びると言われる甘露水があります。ここにも一つ伝説があり、新羅の王子が山に入ったとき、王子の命令で水を汲みに行った部下が、のどが渇いてふくべに水を汲んで飲むと、唇にふくべがくっついて離れなくなってしまったそうです。そのことを王子に報告し、王子より先に水を飲まないことを誓うと、ふくべはやっと離れたそうです。このことからこの水は、次の王が誰であるかを教えてくれたと言われています。

 また石窟庵を過ぎると、洞窟をもともと形成していたドーム上の岩壁が置かれています。石窟庵は20世紀の初頭には忘れ去られ、ぼろぼろの崩壊寸前の状態でしたが、日本統治期に郵便配達屋がたまたま発見し、修復工事が実施されて保存されました。が、このときに当時の先端技術であるコンクリートで石窟を覆ったため、湿気がたまるようになってしまったとのことです。その原型を感じさせる石材も見ることができます。

石窟庵前の眺望名物の霧
 また、石窟庵の前には素晴らしい眺めが広がっています。そして私達は駐車場へと戻っていきましたが、帰る途中でだんだんと霧が濃くなってきました。石窟庵は吐含山という山にありますが、この名前は霧や雲を山が吐いたり含んだりするようだということから名づけられたそうです。山の名前は山号として、仏国寺でも使われています。



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